「ambulance chasing」という言葉をはじめて知ったのは、
Sales Opsのメンバーが発したこの言葉がきっかけでした。
- The reason why a salesperson’s access to the Account and Opportunity is limited to their own is to avoid ambulance chasing.
- 「アカウントやオポチュニティへのアクセスを本人の担当分だけに制限しているのは、ambulance chasingを避けるためだ」
ambulance chasing とは、直訳すると「救急車を追いかけること」です。
そのため、最初に聞いた時は「どういう意味だろう?」と理解できませんでした。
後から調べたところ、もともとアメリカの法律業界で使われてきた言葉で、
事故現場や病院に弁護士が駆けつけ、被害者へその場で訴訟を持ちかける行為を指すのだそうです。
倫理的に問題がある行為として、強い否定的なニュアンスを持っています。
ビジネスにあてはめると、他者が頑張って営業している案件を横取りする行為、
という意味になります。
・「そのお客様への営業は自分のほうが先にしていた」と言って横取りする
・パートナーを唆して、パートナー経由で横取りする
・本社や関連会社、SI会社経由で大元から横取りする
など、さまざまな活用パターン考えられます。
また、今回使われた ambulance chasing は、
法律業界での意味合いそのままではありません。
誰かが時間をかけて育てた案件や、偶発的に発生した重要な事象に対して、
後から関係の薄い人が入り込み、成果だけを取りにいく行動を指しています。
このような行動が増えると、組織の信頼関係や健全な役割分担が崩れてしまいます。
だからこそ Sales Ops は、人を縛るためではなく、
健全な行動を守るためアクセス制御やルーティングによって未然に防いでいるんですね。
ambulance chasing という言葉は、響きの強いフレーズです。
その強さが「やってはいけない行動」という事実を、感覚的に伝えています。
説明を聞けば納得できるのですが、日本語で表すなら?
と考えると、ぴったり当てはまる表現がすぐに浮かびません。
近い表現として「火事場泥棒的な営業」「他人の不幸に便乗する行為」「横取り営業」
といった言葉が浮かびましたが、どれも完全には一致しません。
日本人向けに訳すとしたら「後追いで成果だけを取りにいく行為」という説明であれば
Sales Ops の意図が見えやすいかと思います。
私にとってこの言葉は Sales Ops がなぜルールを作り、なぜアクセスを制限するのかを、
とても端的に説明してくれる言葉でした。
人を疑うためではなく、組織を健全に保つために必要な仕組み。
それが Sales Ops 文脈における ambulance chasing なのだと理解し、大切にしています。