Use the difficulty
この言葉は「Inception」というアメリカ映画で、
マイルス教授役を演じたマイケル・ケインが、とあるインタビューの際に語っていた言葉です。
映画を見たことがある方は、主人公であるコブの妻、モルの父であり、
コブの義理の父にもあたる人物、といえば伝わるでしょうか。
「Inception」は、国内外で人気の高いレオナルド・ディカプリオや渡辺謙が出演している作品、
ということで日本でも大きな話題となり、多数の賞を受賞していたのを覚えています。
さて、インタビューの話に戻ります。
マイケル・ケインは以前、即興劇の練習をしていました。
彼はこのとき、夫婦役の二人が演技をしているところへ入っていく、という役回りでした。
ところが、夫婦役をしていた俳優の演技が白熱。
夫役の俳優が椅子を投げたところ、
マイケル・ケインが入室する予定のドアに挟まり、扉が開かなくなる事態に。
マイケル・ケインは、中にいるスタッフへ、
「椅子が挟まり、ドアが開かないため、中に入れません!」
と伝えのですが、返ってきたのは、
「Use the difficulty ! (その状況を利用するんだ!)」
という言葉でした。
コメディー作品であれば、その椅子にぶつかって転んでみる。
リアリティを大切にするドラマであれば、その椅子を壊して入り、真剣さを演出するなど、
起きた状況を利用して、次につなげる、という意図が込められています。
たしかに即興劇というジャンルでは、何が起きるか分かりません。
トラブルが起きても、演者さんの機転で作品が作られるもの。
本番では、ドアが開かないなどと言っていられないのですから、
できることを考えるしかありません。
この言葉は、マイケル・ケインにとって深い学びになったようで、
「この言葉を、自分の息子にも教えたんだ」
と話していたそうです。
人生生きていれば、色々なことが起きる。
それなら、起きたできごとの1%でもいいから、利用してやればいい。
トラブルやマイナスを利用できれば、それだけでもう一歩リードしたようなもんだ。
「転んでもただでは起きない」ではないですが、
とても前向きで素敵な言葉だと思い、手元に書き留めたお話です。
仕事もプライベートも、思いがけないトラブルが起きがちです。
そんなとき、今の状況を少しでも利用して、プラスにつなげていきたいなと感じました。
新年ふと、そんな前向きなことを思い出してみました。