これは、一緒に仕事をしていた前の上司の教えです。
売上予測(予算)を検討する場面で上司は、
“Forecast is not just about art. It is science and art.”
という言葉をよく使っていました。
直訳すると、
「売上予測(予算)は単なる勘や感覚ではなく、科学であると同時に芸術でもある」
という意味です。
このフレーズをはじめて聞いた時、不思議な感覚に陥りました。
私たちが普段話す日本語で、
「科学と芸術」を並べて使うケースは、ほとんどないからです。
売上予測(予算)について解説するなら
「理論」や「経験」「データ」といった言葉の方が
一般的で、適している気がします。
ですがその後、実際の業務で訪れた、
売上予測(予算)を扱う機会をきっかけに、
上司が選んだこの表現の正確さを深く理解しました。
売上予測(予算)を考える場合、
数字や統計、傾向分析といった科学的な要素が欠かせません。
データを整理し、過去の実績を基に確率を考え、論理的に将来を推定する。
これは明らかに科学の領域です。
一方で、リアルなビジネスの現場では、
数値だけで判断しきれない状況や要素が多くあります。
商品やサービスにたいする顧客の反応、
組織ごとに違う人間関係や雰囲気、市場全体の流れや空気感……
時代やニーズによって変化する部分がたくさんありますよね。
このような、数字だけでは表せない部分を感じ取り、
そこにある意図や意味を読み解き、施策や対応を考える。
つまり、感覚的な判断=アートの側面が必要です。
上司の言葉をまとめると、売上予測(予算)の検討は、
科学的要素と感覚的要素いずれか片方だけでは成り立たず、
数値やデータと感覚的な部分の両方が、かならず求められる、
だからこそ、数字やデータと合わせて、
その裏にある感覚的な部分も大切にするべき、という、
双方の重要性を端的に表す一言だったのです。
「理論と実感の両方を持っていてこそ、正しい判断に近づける」
という意味もありそうです。
この言葉は、売上予測(予算)だけではなく、
ビジネスのあらゆる場面にも当てはまります。
営業活動、販売、顧客サポート、新商品の提案……
どのような場面でも、科学的な根拠と感覚的な判断が必要です。
誰しもが無意識に考えている部分ですが、
なんとなく数字と感覚で判断している人と、より深く数字を理解し、
状況に応じて感覚で判断し、必要に応じて結論を変えられる柔軟な人とでは、
結果が大きく変わると思います。
実践的な力を持つ人材になってほしい、
そんな想いも込めて、上司は「科学と芸術」という考え方を教えてくれたのでしょう。
データや数字だけ、自分の感覚だけにならず、
上手にバランスを取りながらビジネスをしていきたい、そう感じた学びのできごとでした。