nuts and bolts~ナットとボルトの意味

例文・トピックス

先日、ビジネスの場面で会話をしていて、

“Give me the nuts and bolts of ~” 

と言われました。

直訳すると「ナットとボルトをちょうだい」ですが、もちろんそうではない様子。
このニュアンスが分からなかったので調べてみたところ、
nuts and boltsは英語のイディオムで、「基本的で不可欠な部分・実務的な詳細」という意味
があるそうです。

この意味をあてはめると、今回の会話は、
「その物事の基本的で不可欠な部分、そして実際にどう動くのかという実務的な詳細を教えてほしい」
という意味だったようです。

この例のように「大事なポイント」や「内容」について尋ねる場合、
「仕組みや手順といった、現場で役立つ具体的な要素」に焦点を当てがちです。

中でもよく使われるのが「要点(main point)」や「重要なポイント(key points)」で、
これらは理論的・概念的な核心を求めています。


一方でnuts and bolts は「どうやって動くのか」「どんなステップがあるのか」といった、
よりハンズオンで具体的な中身を説明する場合に使います。

Can you give me the nuts and bolts of the new approval process?
新しい承認プロセスの仕組みと具体的な手順を教えてくれる?

このフレーズ場合、
「新しい承認プロセスが大事」という話ではなく、
実際にどう動くのか理解できるように詳細を知りたい 、という部分に強みが置かれています。

ところでこの言葉、どうしても気になるのが、
なぜ「ナットとボルト」なのか、という点です。

頭の中で想像すると、なんとなく意味がわかるイディオムもありますが、
ナットとボルトはちょっとハードルが高いですよね。

この点についても情報を集めてみたところ、
それぞれの本来の働きに語源がありました。

機械や構造物を組み立てるとき、ナットとボルトというパーツは、
材料同士をしっかり固定する、もっとも基本的な部品です。

ナットとボルトがなければ、機械や設備は機能しませんし、
プレートやその他の部品を並べただけでは、すぐに崩れてしまいます。

このことから、
「全体を成立させるために欠かせない基礎部分」 
という意味で、使われるようになったのがはじまりとのこと、

つまり “nuts and bolts” は、頭の中だけで理解する「重要さ」ではなく、
手を動かしたり業務を成り立たせたりする「動かす仕組みそのもの」
もしくは「それを動かすために必要な構造・内容・詳細」を指す表現なんですね。

そういえば英語圏には、作り上げる構造とはまったく逆ですが、
レンチをつかった慣用句もあります。

Throw a wrench in the works
「計画を台無しにする、妨害する」

直訳すると「仕事の中にレンチを投げ入れる」ですが、
計画を台無しにする、妨害する、という意味で使われます。

レンチは、ナットやボルトを回し、締めたり緩めたりする工具です。
それをなぜ投げ出す、ではなくて投げ入れる、
と表すのかが引っかかり、記憶に残っていました。

このフレーズは、仕事をしている人にレンチを投げ入れているのではなく、
働いている機械の歯車の中にレンチ(スパナ)を投げ込むと、
動きが止まってしまう、という点が由来になっています。


この由来から、ビジネスの場面では、業務の歯車を停止させるように、
進行が阻害される場合の比喩として使われています。

Nuts and Boltを要求されたら、 
Wrenchを投げるのではなく、
ナットとボルトが何を、何のために締めているのか理解できるように、
詳細を伝えなければいけませんね。