Itとhe_she_theyは使わない

ちょっとしたコツ

【Itとhe_she_theyは使わない】

海外相手に仕事をしていると、
英語ができる人に限って、意味のわからない英語を書いている気がします。

英文法は完璧なのですが、要は何を言いたいのか意味不明なのです。

特に気になるのが、構文を使って翻訳をした英語です。
何を伝えたいのか分からず、
相手に届かないケースを多く目にしてきました。

構文を使った翻訳を分かりやすくするには、
シンプルに書き換えましょう。
とはいえ、どこを直したら良いのか分からない、という方が多いと思います。

このような場合は、簡単に取り入れられる第一歩として、
「指示後はいっそ使わない」
ここを意識しましょう。

英語圏でも曖昧さ回避のために、事前に使った単語を「そのまま使う」と習います。
ポイントは「そのまま」です。
国語で習う日本語の美しい文章は「言い換えて」事前の単語を再出することがありますが、
これは混乱するからダメだと習います。

指示語を使わない英語は、重複も多くて、美しい文章とは思えないかも知れません。
ですが、ビジネスの場面で、誤解の少ない英語にはできます

こちらは例文です。

  • お客様が障害のために返信を受け取れないため、支援を要請しています。ですが、対応に想定より時間がかかっているため、オフィスにすぐに伺うよう依頼が来ています。
  • A customer has issues getting the reply and asking for help. However, the issue is taking longer than expected, and they want us to go to the office  immediately.

日本語ではごく自然ですし、大きな疑問は感じないかと思います。
ですがこの文章、英語で読むと、分かりづらい箇所が満載なんです。

・困っているのはどのお客様なのか
・誰に要請しているのか
・想定とは誰の想定なのか
・オフィスは誰のオフィスなのか

このように、主要な部分が抜け落ちてしまっています。
結果的に具体的なところが明確ではありません。
これでは、適切な対応ができません。

相手へ伝えるには、

  • 「弊社の」お客様に、「弊社からの」メールが受け取れないという障害があり、「私たちへ」早急に解決するよう「お客様が」要請しています。ですが、「私たちが」想定していたよりも「私たちが問題解決するのに」時間がかかっているため、メールではなく、今すぐ「お客様の」オフィスに来るように言っています。

といった形で、くわしく詳細を足さなければ不明瞭です。
場合によっては、適切な主語と目的語がないために、違ったことを想定しかねません。
日本語・日本文化では、文脈から前後を想定するため、言葉足らずでも理解できます。
しかし英語圏の人には、「文脈から想定する」という習慣・文化がありません。
そこへ、「文脈から想定しなくては理解ができない」文章を書いてしまっては、
当然誤解を産んでしまいます。

母国語が日本語で、英語は外国語という場合、当然のことながら英語の文章が拙くなります。
その拙い文章から、更に内容を想定してもらえるとは、期待しない方が良いでしょう。

英語で文章を書くなら、「誰が」「誰の」という部分をていねいに表現してください。


中でも、無意識にIt, They, he, she を使っているケースが散見されます。
文章を書いたら一度読み直して、It, They, he, sheを具体的な言葉に変えましょう。

One of our company’s customers cannot receive emails from our company.
The customer is asking us for help.
However, to solve the issue of “customer unable to receive the email”, is taking longer than we expected. 
The customer is asking us to go to the customer’s office immediately instead of emailing.

ここまで書くのは、やりすぎかなと思う時もあります。
それでもビジネスで誤解が生じるよりは、よっぽどましです。

相手へ伝わる英語を選んで、理解される文章を作成しましょう。