英語でビジネスをしていると、
Keep me in the loop
という表現をよく耳にします。
「私を、情報共有の輪に入れておいてください」
「進捗を随時教えてください」
といった意味合いで使われるフレーズです。
繰り返しの動作や輪を表す「Loop」は、ビジネスの場でもイメージが湧きやすく、
すんなり受け入れやすい言葉だと感じています。
その他にも、
“Close the loop.”
というフレーズは、使用頻度の高いフレーズです。
「最後までやり遂げる」
「残っている課題を片付ける」
という意味で、活用されています。
“Close the loop.”は、「タスクやプロセスを完了する」という意味だけでなく、
「コミュニケーションのループをスムーズに機能させ、
ギャップが起きないようにする」というニュアンスで使用される場合もあります。
「すべての関係者に情報が行き渡り、問題がすべて解決されている」
「プロレスの中で、すべての関係者が最終的な問題解決、意志決定に含まれている」
という状態を指す言葉です。
私も後者の意味合いを、ビジネスでよく使います。
業務上のメールや報告など、関係者へ参考までに、情報を共有したい。
でも、それ以上に伝えることは特にない。
という場合、そのまま「参考までに」と内容を転送してしまうと、
「どういう意図があって、参考までにと書いたのだろう?」そんな風に相手を困らせてしまいます。
この場合に、
Including the finance team to close the loop
と書いておくと、何か意図があって転送・CCしているのではなく、
関係者全員にもれなく連絡している、という背景が伝わります。
参考までに、全員へ情報を共有したい場面があれば、ぜひ使ってみてください。
このLoopという言葉ですが、他にもいろいろな活用法があります。
“Out of the loop.”
「情報から外れている」
「状況を把握していない」
これは、ある状況についての情報が不足している、
もしくは、何が起こっているのか分からない、という状態を表します。
“First loop.”
「最初の確認」
「最初のフィードバック」
こちらは、プロジェクトにおける最初の確認・フィードバックサイクルを意味します。
We need a first loop in security team and have them approve the use of this tool.
「このツール利用を承認してもらうには、まずセキュリティー・チームへの確認が必要」
といった場面で使うのに便利です。
ビジネスは報連相(報告・連絡・相談)が大事。
情報共有の基本であるこの考えは、トヨタが発祥だそうです。
遠く離れた英語圏でも、”First loop.”で、同じ目的を果たすため、
有機的にプロジェクトを進めている光景をみて、日本風だなぁと感じました。
ビジネスにおける、コミュニケーション関連のセオリーは他にもあります。
英語圏でよく聞く言葉は「RACI Matrix」です。
これは「役割と責任」を明確にするツールで、4つの要素から成り立っています。
● Responsible(実行責任者): 実際に作業を行う人やチームを指します。Responsible(実行責任者)は、タスクを完了させる責任を持ちます。
● Accountable(最終責任者): タスク完了に対して最終責任を持つ人を指します。Accountable(最終責任者)は、作業の完了を承認します。
● Consulted(相談先): タスクに関する意見・アドバイスを提供する専門的な知識を持っている人・グループ・部署を指します。Consulted(相談先)は必要に応じた助言で、チームをサポートします。
● Informed(報告先): タスクの進捗や決定事項について、情報提供を受ける人やグループを指します。Informed(報告先)は、作業へ直接の関与はしませんが、つねに状況を把握しています。
海外ではこのように、水平分担、かつ、
一人が承認者ではない理解・整理の様相が多くみられます。
上司が意志決定権を持つ機会が多い「上意下達」の日本とは違い、
部下も上司も、それぞれの役割・責任がはっきりしているのが特徴です。
外資っぽさが表れている言葉だなぁと、現場に身を置きながら感じました。