日本の企業では、
- 「この役職の人は、この役割を果たす」
- 「この職種の人は、この仕事をこなす」
そんな風に、定められた役職や職種によって、
「するべき」事項、対応できる内容が決まっています。
会社が変わった場合も、同じような基準が設けられているのが一般的です。
一緒にはたらく人間は、それぞれの役職、職種の人に、
職務に応じた仕事を期待しますし、
どのくらいやってくれるのか、予測できているから会社がスムーズに回ります。
日本では当たり前の光景ですが、外資系企業ではこの考えは通じません。
もちろん、外資系企業ではたらく人にも役職や職種があり、名刺にもきちんと書かれています。
しかし、その役職、職種の人がどこまでの範囲を担うのか、どのように進めるのか、
という点については、個人の裁量に任されています。
「一般的に」ではなくて、上司や組織・環境によって、やるべき仕事が異なり、
アプローチする方法が変わります。
そのため、周囲から不満がなければ、結果を出すための手段は問いません。
個人によって能力の差や都合があるため、一律に期待されることもありません。
日本人が外資系企業で働くなら、覚えておきたいポイントが2つあります。
外資系への就職、転職を検討している方は、ぜひ事前にチェックしておいてください。
ポイント1:やってもらえて当たり前はNG! 毎回かならず感謝を伝える
仮に、あなたが秘書と一緒に仕事をする場面を想像してみてください。
秘書職は、比較的役割がわかりやすい仕事ですが、
パートナーになる秘書によって、どこまで仕事をしてくれるのか、内容はピンキリです。
秘書が動いてくれるかどうかはあなた次第。
依頼した仕事をやって貰えない可能性もあります。
だからこそ、仕事をしてくれた事実へ、きちんと感謝や御礼の言葉を述べるべき、
というのが外資系です。
もちろん、「これをやっといて」と一方的に投げるのは言語道断です。
やってもらえるはず、と勝手に推察して押しつけるのではなく、
都度相手に確認を取り、OKを貰うようにしましょう。
海外の人がよく「日本人は横柄」と言うのは、このような部分が原因です。
日本では、受付や秘書、ドライバー、レジ係など、さまざまサービス業で
「やって当たり前」の文化が根付いています。
そのため、悪気なく仕事を頼んだり、やるのが当然だからと
期待したり、御礼を言わなかったり、そんな態度になりがちです。
この様子を外国人が見ると、感謝のできない横柄な人、コミュニケーションが苦手な人、
という印象になってしまいます。
外資系を相手にするときは、
「都度ていねいに依頼する」「やって貰えたら毎回感謝を述べる」という
行動を心がけてください。
ポイント2:リスク分散・リスク管理は自分の責任
外資系企業では、相手の動きに期待できません。
そのため、リスク分散やリスク管理は自分の責任になります。
「依頼や指示に応じてくれた事実に、感謝や御礼をする」というコミュニケーションは大事ですが、
それ以前に、「そもそもやるかどうか分からない」という点を肝に銘じておきましょう。
外資系では、業務を遂行できなかったとき、
- 「頼んだけれど、相手がやってくれなかった」
- 「あの人は秘書なのだから、この仕事をやるべき」
といった言い訳は通じません。
秘書が仕事をしなかったのだとしたら、やるようにきちんと管理できなかった自分が悪い、
やらなかった場合にそなえて手を打っていなかった方が悪い、そう判断されます。
車の免許を取得する際に、
人が飛び出してくるかもしれない、赤信号でも止まらないかもしれない、
そんな「かもしれない運転」を学びます。
同じように外資系では「相手がその仕事をやらないかもしれない」という危機感をつねに持って、
依頼する側が対策をしたり、できなかった場合に責任を取ったり、といった行動が必要です。
いちいち打ち合わせをしなくても、
「あ・うん」の呼吸でチームワークが出来上がっていく日本の文化。
効率が良い、日本人にとっては当たり前の仕組みですが、
海外に出るときはいったん常識を捨てて、外資系ならではの考え方を身につけておきましょう。