ビジネスの場では、法務に関連する契約が必要不可欠です。
また契約を締結する際、
個人の意見ではありますが、
日本の法務担当者とアメリカの法務担当者の考えに、大きな違いがあると感じます。
日本の法務担当者は「万が一」を考慮し、将来の可能性を検討します。
将来的にビジネスが大きくなり、
関連企業も参加するようなプロジェクトに拡大した場合まで想定し、
法務文書や契約書がレビューされます。
対してアメリカの担当者は、今現在のビジネスに基づいて検証します。
根底に、
「ビジネスが大きくなったり、
関連企業も参加するようなプロジェクトに拡大したりする場合は、
新しい環境に変わるため、契約も新しく結ぶべきである」
という考えがあるからです。
特に私がいるIT市場では、3年も経てば技術環境が様変わりします。
5年後には、前提条件が覆るほどの技術革新が起きている、というケースが珍しくありません。
つまり、想定しきれない将来を見越して契約を結ぶのは、リスクが高いといえます。
だからこそ、
今現在の状態、想定される確実な可能性をもとに、リスクを堅実に潰すことを目標にします。
このように、考え方がまったく違う日本とアメリカの法務担当。
そのため、日本とアメリカが法律文書を合意したい場合、なかなか話が噛み合いません。
詳細にわたり「たら・れば」を確認しようとする日本側。
ありもしないケースを検証しようとする日本相手に、
そんなリスクテークはできないと一点張りするアメリカ。
この場合、どうやって妥協点を見つければ良いのでしょうか?
私が、日本チームに勧めているのは、
「日本側の法務担当者は、契約の見直しを前提に話を進める。
条件が変わった場合は、双方の歩み寄りを前提に検討する」
という事前の約束です。
この約束について文言に入れたい場合は、
「契約書の見直しを申し出ない限り、この契約書は有効である」
こう入れておけば問題ありません。
日本人はつい、
「条件が変わった場合は、契約書の見直しを申し出て良いものとする」
こう書いた方が良いのでは? と感じがちですが、アメリカ人の考えは違います。
文書・文言として、この契約書が「書き変わる可能性がある」と示唆するより
「何らかの事態が起きない限り有効」と書く方が落ち着くようです。
このように、一見中間地点がないように思える法務折衝も、妥協点はあるものです。
話し合いの際は、双方の考え方が生かせる道を探して、上手に折り合いをつけてください。のです。
話し合いの際は、双方の考え方が生かせる道を探して、上手に折り合いをつけてください。