ビジネスにおいて、もっとも重要と言えるのが信頼関係です。
この信頼関係を築くには「テクニックがある」、と言ったら、信じていただけるでしょうか?
「地道に誠実に対応することでしか信頼は得られない」
こんな風に教わってきた方には、胡散臭い話かもしれません。
ですが、
ただ努力を重ねるだけでは、伝わらないケースが多々あります。
信頼を獲得するなら、こちらの想いを相手に理解してもらう習慣をつけましょう。
海外の外資系企業では、「信頼を得るための方法」を研修で学びます。
その中には、語学力と関係なく実践できるテクニックもありますので、ぜひ取り入れてみてください。
覚えておきたいテクニックは2つ。
「傾聴」と「小さな実績を無理やり作ること」です。
それぞれについて、くわしくみてみましょう。
「傾聴」
「相手の言葉に耳を貸す=信頼を得ること」
というのは、なんとなく理解できるかと思います。
ですが、ただ聞けば良い訳ではありません。
相手へ、傾聴していることを分からせないと、信頼にはつながりません。
日本人は真面目に聞き、相手の気持ちを理解するのが得意です。
その一方で、あなたの言葉を真剣に聞いています!というPRが不足しています。
「この人は真剣に話を聞いてくれている」
そう思わせるテクニックがこちらです。
- 相手の目を見て大きく頷いたり、声を出したりして話を促す
- 話に合わせて表情を変えたり、リアクションをとったりして、流れに関与する
- 簡単なこと、ささいなことでも、積極的に質問して会話に参加する
- 「オープン・ポスチャー」の姿勢を取り、継続的に受容のメッセージを送り続ける
※オープン・ポスチャー:両手を広げたり、手のひらを上に向けたり、前のめりの姿勢などのポーズやジェスチャーのこと。反対のクローズドは、腕組みをしたり、ふんぞり帰ったり、手を握りしめていたりする姿勢を指す。
これらの行動はみて分かる通り、こちらのアクションで相手へ話の継続を促しています。
信頼を得るためには、理解するだけでなく、
一生懸命聞いているサインを発信しましょう。
「小さな実績を無理やり作ること」
もう一つのポイント、「小さな実績を無理やり作ること」
これは、カントリー・マネージャとして就任した
日系ブラジル人から、実践で学んだテクニックです。
以後、自分がカントリー・マネージャに就任したり、
新しい役職について信頼関係を構築したりする際に、必ず取り入れています。
信頼関係を結ぶために必要な、具体的なステップをみてみましょう。
ステップ1:不満を聞く
不満を聞くだけでなく、どういう状態になったら改善するのか。
何がどう変わったら、改善であるのかを確認しておきます。
問題点という言葉を使う場合もありますが、
「不満」という聞き方をした方が、収束しやすくなります。
小さいことから大きいことまで、すべてに耳を傾けましょう。
日本人は「解決」を目標に、不満を尋ねてしまいがちですが、
まずはできるだけ多くの不満を集めることに終始します。
実際にやってみると、
「それは些細すぎないか?」「関係ないんじゃないか?」
と思うようなことも出てきますが、後から意外と役に立ちます。
ステップ2:素早く簡単な解決方法を洗い出す
不満を集めたら、素早く簡単に解決する方法を考えましょう。
解決には行動だけでなく、目に見える変化を取り入れると、信頼獲得につながります。
ささいなことであっても、自分一人ですぐに解決できる不満があれば、
速やかに行動、解決、完了し、可能であれば目に見える変化を表に出しましょう。
- グループミーティング時間を変更する。
- オフィスにクーラーを設置する。
- 出勤時間をフレックするにする。
- 報告書のフォーマットを変える、
といった行動は、一目で分かる変化です。
「解決してくれた!」と相手がすぐに感じられる方法を、複数検討してみましょう。
ステップ3:1週間以内に完了・報告する
不満解消は、相手が覚えている1週間以内に済ませましょう。
素早く完了するだけでなく、相手への報告が重要です。
「目に見えることだから、分かってくれるだろう」
という考えはNG!
実施した上で、
「あなたが言ってくれたから、○○を実施できました。ありがとう」
など、感謝の意も含めた報告を心がけると、信頼関係が築かれます。
不満を言った側は、
「自分が不満を聞いてくれた。自分の発言が役に立ったんだ」
という嬉しい気持ちになり、何でも話せる関係になれるでしょう。
目に見える変化を取り入れた場合は、変わった部分を見るたびに
「自分が言った結果、真剣に対応してもらえたこと」を実感できます。
こうした日々で、信頼感がさらに醸成されます。
信頼を勝ち取るためには継続や実力が必要、
と思いがちですが、このようなほんのわずかな工夫で、即座に信頼を獲得できます。
時には、つまらないこと、
そう感じる不満もあるかもしれません。
ですが、
つまらないこと一つで得られる信頼感は多大なもの。
少しの配慮で大きな信頼が返ってくる、魔法のようなテクニックです。
小さい不満を拾うようにすれば、解決側の労力もほんの少しですみます。
この習慣が身に着くと、小さな不満に出会うたび、
幸せの種を見つけたような気持ちになれますので、ぜひ実践してみてください。