「やるべきことをする」
それはごく当たり前で、この言葉自体に不思議や疑問が浮かぶことはありません。
夏休みの宿題は、最後の日に泣きながらでも終わらせます。
終えられなかった場合はその結果として、
課外授業や、さらなる宿題、といったペナルティがあるのも当然です。
いわゆる「因果応報」というもので、日本では常識的な考え方です。
ところが、海外勢と話をしていると、因果応報が通じないケースがあります。
全員一致で「しなければならない」と思う場面は、意外に少ないのです。
それでは以下、日本的考え方と、海外的考え方の違いをみてみましょう。
●:日本的考え
- 計算が合わない注文書と発注書の処理はできない。まずは原因を突き止めるべきだ。
- お客様は絶対に怒らせてはいけない
- 通達に間違いがあったら、すぐさま修正を出すのが当然。謝罪も必要。
- システムダウンの根本原因は報告義務がある
〇:海外的考え
- 数円の違いであれば為替の誤差なので無視して良い。ささいなことに時間を使ったり、システム変更したりする方が無駄。
- 顧客であっても、相手が不当な要求をしているのなら妥当ではない。顧客の不当・不相応な要求に合わせる必要はない。
- 大きな間違いでなければ修正は不要。処理や進行に問題がなければ無視して良い。
- システムを復旧し、対策を立てたのだから、原因究明のために時間や労力を割くのは無意味
どの考えも、相手とこちらの価値観、優先順位の違いから、異なる着地点へたどり着いています。
日本であっても、海外であっても、
「自分の当たり前が通じなくて当然」
という思いで接すると、スムーズな対話になるでしょう。
とはいえ、価値観や優先順位が違う人と、合意しなければいけない場面もあります。
この時は共通目標を立てましょう。
合意のために大義名分を作り、協力しあえる関係を目指します。
会議や会話、メール冒頭などで、共通目的を確認しながら進めていきましょう。
「お客様を怒らせない」
という考え方ひとつ取っても、
●お客様を怒らせない
受注につながれば、当該顧客から大きな市場・影響度が期待できる。
とりあえずこのお客様を満足させる
という理由や目標が明確であれば、協力を得やすくなります。
ただし、協力を得る以上、相手の時間や労力、功績といった利益は無視してはいけません。
協力を促すことで、相手はどのようなメリットを得られるのか。
相手の時間や労力を減らすため、自分には何ができるのか、このあたりを明確にしましょう。
相手の個人的利益を無視して、大義名分だけ通すのは不可能だからです。
考え方が違う相手と合意が必要な場合、相手の人間性に目を向けるとうまく行く場合もあります。
一人の人間として、相手がもっとも関心があることは何なのか。
どんな考えを持っているのか。
対話を通じて相手に合わせた行動を心がけると、手応えが変わってきます。
協力作業を成功させたい時は、試してみてください。