大したことではないです。ですが、
仕事の関係者と話していたときのこと、英語で、
「それはCOVITみたいなもので、ある意味BlackSwanだよ」
と言われ、まったく意味が分からず困ってしまいました。
どういう意味だったんだろう、
と後から調べてみた結果、意外な真実が隠されていましたので、ここで共有いたします。
BlackSwanとは黒い白鳥、黒鳥のこと。
まず思い浮かんだのは、バレエ作品「白鳥の湖」に登場する黒鳥・オディールです。
王妃から、明日の舞踏会で結婚相手を選ぶように言われたジークフリート王子。
その気になれず湖に狩りへ出かけたところ、白鳥から娘の姿に変わった美しいオデットに出会います。
真実の愛を誓えば、オデットは白鳥から人間の姿に戻れる。
そう聞いたジークフリート王子はオデットに愛を誓うのですが、
翌日の舞踏会に、オデットそっくりの
黒鳥姿をしたオディール(オデットを白鳥に変えた悪魔の娘)が現れます。
オディールがオデットだと勘違いしたジークフリート王子は、
オディールと結婚すると宣言してしまい……その後はバッドエンドとハッピーエンド、
2種類の結末が待っています。
真っ白なオデットにたいして、真っ黒なオディール。
いくら似ていても、普通は間違えないですよね。
この点については、悪魔の娘であるオディールの、魔術に惑わされた、
というのが正しい解釈だそうです。
白鳥の白と対比させるために、黒い衣装を着せた結果、
黒鳥と呼ばれるようになったそうですが、
「BlackSwan=オディールの黒鳥」ではありませんでした。
由来は、1697年のオーストラリア。この年、はじめて黒い白鳥が発見されます。
それまではその名の通り、「白鳥の色はすべて白」だったため、
「存在しないこと」を表すたとえとして、
黒鳥という表現が使われていたそうです。
英語圏ではかつて、「無駄な努力」を表す言葉として、
「黒い白鳥(ブラックスワン)を探すようなものだ」ということわざもあったとか。
そんな中で発見された、オーストラリアの黒鳥。
見つけた人は、それは驚かれたと思います。
無駄な努力ではなく、地道に頑張れば見つかる存在になってしまったのですから。
この一見から、黒鳥という言葉は、
「無駄な努力」を表す言葉から一変して
「常識を疑うこと」「物事を一変させること」「自分を絶対視しないこと」
このような場面の象徴として使われるようになり、
無駄な努力という意味は消えていきました。
私が聞いた「それはCOVITみたいなもので、ある意味BlackSwanだよ」という言葉は、
「予期せぬ事態であったCOVITのようなもので、
予期せぬという意味では物事を一変させた黒鳥の例とある意味同じ」
という解釈になります。
そんな、世間の常識を覆した黒鳥ですが、
皆さんはどこかで見かけたことがありますか?
日本でも、一部の動物園や公園で、黒鳥が飼育されています。
多くの動物園、花鳥園などに存在しているのですが、
黒鳥目当てに出かけるケースは少ないため、知らないうちにすれ違っている、という方も多そうです。
白鳥は、冬になるとシベリアから海を渡って日本に飛来しますが、
黒鳥は渡り鳥ではないとのこと。
動物園や公園にいる黒鳥は、
観賞用にオーストラリアやタスマニアなどから運ばれてきた外来種なのだそうです。
同じような見た目でも白鳥は自らの翼で北から南へ、
黒鳥は船や飛行機によって南から日本へ来た事実。
黒鳥という言葉の由来だけでなく、日本にいる黒鳥のルーツにも驚かされました。