「アメリカ人は静寂が苦手なんだよ」
以前、アメリカ人の上司から、そんな話を聞きました。
言われてみれば、
欧米相手に会議や打ち合わせをしている時、
「なにか質問はありますか?」
と聞かれたあと、
しんと静まりかえる沈黙の時間が、「異常に短い」ことに気付きます。
質問があるかどうか、
意義があるかどうか、
問いかけから反応までの一瞬の間。
日本人であればこの時間に、
- 問題がないかどうか
- 不明な点はないか
- 周囲はどんな表情をしているか
- 返事をするための資料の見直し
といった行動が見られます。
ここで時間を取るのは当たり前で、
司会の人間は、
- 「実際の運用方法などに疑問はありますか?」
- 「会議後の対応で、分からない点はありませんか?」
など、質問や確認を促すのが一般的です。
というのも日本では、
会議の発表や誰かの意見を聞いている時、
相手側の立場や話し合いの内容、本質を理解するために、
まず一生懸命聞きます。
そして、周囲の意見や状況をもとに、想定・想像・検証を同時に進めます。
そのため、会議の司会などから、
「何かありますか?」
と言われてはじめて、自分の立場に戻り、
疑問や質問があるかどうか、整理がはじまります。
しかし欧米では、このような時間が一切ありません。
彼らが優先するのは、
相手の気持ちではなく自分自身の主張です。
だからこそ、
つねに批判的精神を持って、相手の話に耳を傾けることをしています。
自分にとって問題がないかどうかたしかめること、
という部分を大切にしています。
このような気持ちで会議に参加するため、
「質問はありますか?」
という問いにたいしてすぐに自分の意見を述べられます。
逆にここで声をあげられなければ、
機を逸してしまい、
ビジネスにおいて致命的なダメージを受けてしまう可能性もあります。
なぜなら、
欧米では、沈黙=合意と捉えられてしまうからです。
英語ではこの沈黙を、
「Crickets…(こおろぎ)」と表現します。
人の声が聞こえない、
つまり虫の鳴き声が聞こえるくらいの静けさ、というのが語源です。
沈黙が訪れた、
ということは意見を言う人が一人もいない、と解釈されるため、
”Silence is acceptance!” 沈黙は合意
または
“OK! No question means the explanation was very clear, right”
質問がないということは説明が良かったということだね。オッケー!
といった形で、先へ進んでしまいます。
欧米では当たり前のスタイルですが、
慣れない日本人は大変です。
私はセッションが「はじまる前に」、
質問をかならず用意しておきます。
そして、用意した質問の答えが会議で出なかった場合は、
即座に指摘するようにしています。
これから先、
欧米の会議に参加する機会があれば、
積極的に会議へ参加するためにも、内容を事前に確認しておきましょう。
準備を整えて、最適なタイミングで意見を届けてください。