英語にはさまざまな表現がありますが、
よく使われる言葉の方が分かりづらい、というケース、案外あります。
中でも「Time」や「Clock」といった時間に関連する単語は、
どうも不遇に思われてなりません。
例えば
- 「Kill time」
時間をつぶす/暇つぶしをする - 「Break time」
休憩時間 - 「Steal time」
時間をやりくりして何かをする/忙しい合間をぬって時間を作る
これらはTimeという言葉がつくことで、
柔らかい表現に感じますが、
単体だとkillは「殺す・終わらせる」、
Breakは「壊す・中断する」、
Stealは「盗む・こっそり取る」、といった意味があり、
そんなに時間という存在をひどい目に遭わせなくても……と感じてしまいます。
Timeの扱われ方について、最初に面白いなあと思ったのは、「About time」です。
そのまま受け止めると、
だいたいの時間、というイメージですが、正しくはフルセンテンスで
「It’s about time」と表し、
「Finally(ようやく)」とか
「This should have happened earlier.(遅すぎるくらい)」という意味で使われます。
- “It’s about time you showed up!”
→ You are late; I was waiting for you, and you should have come earlier.
「あなたは遅れていて、自分は待っていた。もっと早く来るべきだった」
このような場面で、使用されています。
他にも、TimeやClockなど、時間から派生した言葉には、面白い表現がいろいろあります。
「Beat the clock」
Beat単体では、「打つ・叩く」といった意味があり、時計が不遇になる言葉ですが、実際は締め切りや制限時間内に間に合わせる、といったニュアンスになります。
具体的には、こんな場面で使われます。
- To finish something before a deadline
「締切ギリギリで間に合わせる」 - We managed to beat the clock and submit the report before noon.
「私たちは急いで、なんとか締切に間に合わせて正午前にレポートを提出できた」
予定に間に合いそうになく、時計を見ながらイライラして指でつつく、そんな場面が浮かびます。
「Against the clock」
こちらは、Againstだけでは、「~に反して/~に向かって/に対して」といった意味ですが、「時間と戦う」「時間との勝負」といった意味合いで使われます。
- Racing to finish something before a deadline
「締切に間に合わせるために急いでいる」 - We were working against the clock to fix the system bug.
「システムのバグ修正は、まさに時間との戦いでした」
といった場面で耳にする言葉です。
「At the eleventh hour」
これは時計が12時で一回りすると考えたとき、一つ前が11時である点から生まれた言葉です。
意味としては、「土壇場で」「ぎりぎりのタイミングで」といったニュアンスです。
- They agreed to the deal at the eleventh hour.
「彼らは土壇場でその契約に合意しました」
といったビジネスの場面で耳にします。
「pass the time」
Passだけの場合、「通る、合格する、渡す」といった意味ですが、
「pass the time」になると、「時間を潰す、暇つぶしをする」といった意味合いに変わります。
「kill time」と使い方はほぼ同じです。
- I played a mobile game to pass the time before my flight.
「搭乗前、スマホゲームをして暇を潰した」
このような場面で使用します。
どれも身近な単語の組み合わせですが、
シンプルな言い回しなのに、意味は想像と違うものばかりです。
言葉単体のイメージで解釈してしまうと、間違っている可能性があります。
あれ?と思ったら、一度たしかめておくと安心です。