前回、前々回と謝ってはいけない理由、謝らないで申し訳なさを伝えるコツを紹介しました。
謝ってはいけない理由
=責任範囲が変わってしまうから
謝らないで申し訳なさを伝えるコツ
=責任は明確にしながら、一緒に問題を分かち合い解決する姿勢を見せつづける
という内容でした。
今回は最後に「謝らせてはいけない理由」について解説いたします。
謝らせてはいけない理由
日本チームが海外本社とやりとりしている時、
「自分達で問題を起こしておいて謝罪すらない」
「外国人の部下は、間違えても謝らない」
という言葉をよく耳にします。
このような場面をみるたびに、文化のささいなすれ違いを感じます。
謝罪しないことと、相手が申し訳ないと思っているかどうか。
この2点は別物だからです。
これまでお伝えしてきたように、謝罪する=責任範囲を認める行為です。
そのため、どんなに申し訳ないと思っていても、
「自分の組織もしくは同僚、もしくは自分だけで責任を取れるのかどうか」
ここを考えると、かんたんに謝罪できません。
「自分が至らなかった」
「自分のミスが影響している」
そんな風に、内心では歯痒い思いをし、唇をかみしめているけれど、
やはり謝罪はできない。
という相手側もたくさん見てきました。
もちろん私も、謝罪の責任について理解できていない頃は、
「自分の非を理解しているのに、なぜ謝罪しないんだろう」
と思っていた人間です。
しかし、海外への理解を深める中で、
「組織や個人の責任が発生する場面では、申し訳ないという気持ちへ素直に従うわけにはいかない」
と考えるようになりました。
海外のスタッフ相手に
「まずは謝れ」と詰め寄るのは、得策ではありません。
相手の誠意・謝意について責任を取らせる、
というスタンスをとってしまうと、話がこじれてしまいます。
こちらは単に謝罪の言葉が欲しいだけ。
責任は追求していない、というつもりでも、
結果的に相手を追い込んでしまうでしょう。
謝らせず問題を解決するなら、
コミュニケーションもできる、次のアプローチを取り入れてみてください。
「ステップ1」
問題解決に向けて「双方の努力」で対応する
「ステップ2」
問題解決後に、前向きに振り返る。
どうやったらより良い結果になるのか、
双方が反省の上で話し合い、次からの改善策に同意する
「ステップ3」
解決後にメールやSNS、テキストメッセージなどで、
個人的に自分の感情を伝える。
(自分が間違えて申し訳ないと感じていること、
仕事を一緒に進めるのが大事、他人事ではなくて一緒に頑張ろうという声がけなど)
相手から、サポートしてもらった場合は、
「責任ではないのに、対応してくれてありがとう。あなたのおかげで救われました」
といった言葉をかけると、良い関係が築けます。
謝罪を求めがちな日本人は、自分もすぐに謝ってしまいがちです。
しかし謝ってばかりでは、
責任を重く受け止めていないと捉えられてしまいます。
誠意や謝罪を安売りしている、そんな風に思われてしまっても仕方ありません。
謝る行為は、大切にするべきこと。
だからこそ、仕事をしながらの謝罪はNGです。
一手間かけて、個人的に申し訳ない気持ちを伝えると、相手の心へ響くでしょう。