「外人は謝らない」
「日本人は謝ってばかり」
そんな話を聞いたことがありませんか?
このホームページでも以前「お詫びのコツ」について触れました。
外資系で仕事をしていると、流ちょうな英語が話せるのに、
つい謝ってしまう日本人を多くみかけます。
また、謝るという一見良さそうな行動が、トラブルにつながるケースも少なくありません。
そこで今回は、
日本人が感じる申し訳ない気持ちを、海外相手にどう解釈すれば良いのか、くわしく解説いたします。
ポイントは3つ。
- 謝ってはいけない理由
- 謝らないで申し訳なさを伝えるコツ
- 謝らせてはいけない理由
早速1回目の、「謝ってはいけない理由」からみてみましょう。
<謝ってはいけない理由>
外資系企業で働いていると、
「謝ってはいけない」
場面がかならずあります。
外国人があまり謝らないのは、
その人が冷たい性格だったり、申し訳ないと思っていないなかったり、
といった性格的な問題ではありません。
実は、業務上の責任が大きく関係しています。
仕事・タスクは一人で進めるものではありません。
共同責任だったり、
最悪の場合、責任が明確になっていなかったり、
という業務も外資系では多くみられます。
ここで、書類作成支援を依頼された例をみてみましょう。
作成支援とは、あくまで“支援”のみを指し、作成代行は業務に含まれません。
つまり、全体の責任=最終確認責任を持っているのは書類作成者。
支援者の責任は、仕事の完成を約束する(完成の責任)のではなく、
事務処理行に関連する業務依頼(指示業務完遂の責任)です。
当然支援者に、書類の最終チェックといった責任もありません。
ところが、自分が支援した書類に不備があった場合、
日本人は「申し訳ない」という気持ちに陥ります。
自分が書類の作成支援に携わった以上、自分が気づいていれば不備を防げたかもしれない
このようにチームとして考えるのが日本人です。
支援された側も、間違いが見つかった時に他人事のように対応されたら、
不快な気持ちになるでしょう。
もちろん、日本人らしい気配りの気持ち、思いやりの気持ちは大切です。
また外資系であっても、相手を思う気持ちはきちんと持っています。
ですが、大切なのは、目の前のミスが「自分のせいかどうか」です。
ここを把握せず、申し訳ないという気持ちで謝っていては、プロフェショナルとして失格。
周りや所属部署の迷惑になってしまいます。
支援者が謝ってしまうと、
「この人はそこまで自分の責任だと思っているんだ」
周囲からそう認識されます。
その結果「書類の不備は私の責任です」という意思表示として捉えられ、
自身の仕事が増えてしまうでしょう。
場合によっては、同僚や上司の責務範囲まで変えてしまい、
同じように責任を取り続けなければいけない状況に追い込まれてしまいます。
周囲に迷惑をかけないためにも、
謝りの言葉を発する前に、自分一人で責任を取れるのかどうか考えましょう。
責任を取れない謝罪は、申し訳ないという気持ちを軽くしたいだけの行為です。
職務的には何の意味も価値もありません。
「素直に謝っても評価や好感は得られない」
と心得て、責任を取れる範囲内で業務を遂行しましょう。