正しい褒め方・お礼の仕方

考察

「成果は褒めましょう」

「お礼をちゃんと言いましょう」

これは世界共通の常識です。

その一方で日本人は手放しで褒めたり、
大袈裟にお礼を言ったり、
という行動に慣れておらず、
余計な気を使ってしまうケースが少なくありません。

タイミングやニュアンスを間違えないように褒めなくては、お礼を言わなくては……
そう考え出すと、余計に悩んでしまいます。

今回は「望ましい褒め方・お礼の仕方」「避けるべき褒め方・お礼の仕方」を紹介いたします。

<「避けるべき」褒め方・お礼の仕方>
1.賞賛と批判が混ざっている

○それは素晴らしい。でも、方式Aにした方がいいよ。

○素晴らしい対応に感謝です。方式Bなのが残念ですので、次回からはAでお願いします。

○素早い対応ありがとう。ここが間違っているから修正してね。 

賞賛と批判が混じった文章は、批判の方が重く受け止められてしまいます。
褒めたいことも注意したいこともある、という場合は機会を分けましょう。
褒める時は褒める、お礼を言う時はお礼を言う。
ここへ余計な色を加えて、せっかくの華やかな場を汚してはいけません。

2.「人」「物」「結果」だけについての評価している

○その方法は頭が良いね。賢いな。

○素晴らしい結果だ。仕上がりが完璧だ。

○一位獲得おめでとう。素晴らしいね。

○夜通し頑張っての対応ありがとうございます。

「人」「物」「結果」がどうしてダメなのか、分かりましたでしょうか?
具体的に良いところを指摘しているし、客観的な事実であるのに何がいけないのか。
その理由は、相手に間違った期待値を伝えてしまうからです。
「人」「物」「結果」へのコメントは、受け取る側に「守りの姿勢」を与えてしまいます。

●賢い=間違えて賢くないと思われたくない

●完璧な仕上がり=失敗があったらダメだ。

●一位=一位以外は負けだ。

●夜通し頑張って=夜通し頑張って褒められた。今後も夜通し頑張らないと評価されない。

このように、こちらの意図とは違う受け取られ方になり、
知らないうちに相手を萎縮させてしまいます。

<「望ましい」褒め方・お礼の仕方>
1.褒める、お礼を言う時はプラスの言葉だけで

○素晴らしい!

○対応感謝いたします。

2.結果だけでなく「過程」や「具体的な行動」について述べる

○方式Aを取るという創意工夫に気がついたのが素晴らしい。
○完璧に仕上げるために、緻密な打ち合わせをし、何度も見直してくれたからこそ素晴らしい成果につながりました。
○毎日早起きをしての練習。日々の研鑽が一位獲得に繋がりましたね。
○業務時間外なのに、特別な対応をしてくださったのですね。取り計らいに感謝してもしきれません。

上記のような言葉なら委縮せず、好意的に受け止められます。

○創意工夫=姿勢や態度が褒められた
○緻密な打ち合わせをし、何度も見直ししてくれた=具体的な行為が褒められた
○日々研鑽=結果に至るまでの努力が評価してもらえた
○特別な取り計らい=当然と思うのではなく感謝してもらえた

まずは行為や姿勢、態度、経緯、具体的な本人がした苦労などに気づくこと。
その上で良かった部分、今後も頑張ってほしい部分、継続してほしい部分を伝えるのが正解です。
感謝したり奨励したり、褒めたりするには、相手の観察が欠かせません。
小さいことで構いませんので、どんどん褒める、お礼を言う練習をしてみてください。

上手に褒められれば、相手は良き理解者を得たという気持ちになります。
その結果、自分と相手との間に深い信頼関係が築かれるでしょう。