「日本人は働きすぎ」
というのは、日本国内でも、世界のいろいろな国でもよく言われる話です。
では、他の国の人はもっと休みがあって、ゆったり過ごしているのでしょうか?
調べてみると、意外な事実が分かりました。
国民の休日数は、世界でもっとも多いのが年間23日のタイ。
2位は21日で中国。
そして3位は、年間17日の韓国、インド、コロンビア、そして日本だそうです。
仕事ばっかりしているイメージですが、休日数では3位なんですね。
だから、お前はいつも祝日だとか文句を言われることすらあります。
休みの日数で言えば、日本人は決して休んでいないわけではない。
それでも、「日本人は仕事中心の生活をしているなぁ」と、よく感じます。
仕事が判断・善悪・配慮の中心に入っているのですね。
たとえばですが、
外資系の営業職をしている私は、毎週のように予算会議・受注会議に参加しています。
いろいろな国の人が集まって会議をするのですが先日、オーストラリアのスタッフから、
「今日はビクトリア州のお休みだから、今週は会議なしね」
という連絡がありました。
オーストラリアの第二都市、
シドニーがあるニュー・サウス・ウェールズ州のメンバーも半数以上いる会議だったのですが、
そこは残りの半数のビクトリア州のスタッフに従う形。
このように海外では、一部の人が休暇に入る場合、
その人抜きで勧めるのではなく、全員の会議が
キャンセルされてしまうパターンが良くあります。
日本ではちょっと考えられないですよね。
アメリカの州は、日本の県に近いため、県単位で考えてみましょう。
仮にどこかの県で、県民の日は学校や会社をお休みにしよう、と決めたとします。
このとき、全国に支店がある会社だとして、
その県の人の都合で企業全体の会議がキャンセルになる、というケースはまずないと思います。
むしろ、自分が参加しなければいけない会議だったら、
県民の日で休みでも出勤する、
それくらいに考えそうなのが日本人ですよね。
このような部分から、日本人は仕事中心だなあ、と感じる訳です。
私は、ポルトガルに本社がある企業に勤めています。
会議に参加するメンバーは、アメリカ人、ポルトガル人が多いため、
それぞれが休日になるたびに、会議がキャンセルに……。
あとからスケジュールを見てみると、だいぶ飛び石の日程になっています。
「誰かの休暇のたびにキャンセルしていたら、物事が進まないのでは?」
日本人はついそう考えてしまうと思います。
実際「誰かが休んだ」「休みから戻ったばかりでまだ通常通りの動きができていない」といった理由で
プロセスが遅くなること、外資系では良くあります。
与えられた役割、役職で動いているのではなく、
個人の力量で会社が動いているケースが多く、
すべてのメンバーがいないと物事を決定できないんですよね。
個人の力と個人に与えられた権限が多い分、その人がいないだけで会社が止まってしまいます。
日本には、ほとんどの仕事でバックアップ体制があり
、一人が休んでも会社が回るようにできているのですが……。
これから海外相手に仕事をする予定がある、という方は、
こんな日本の当たり前が通じない、という点を、ぜひ覚えておいてください。
海外のスタッフから、
「○日は休暇だから会議はキャンセルで」
そう言われたときに、「休みだけど必要な仕事はして当然」、
そんな日本の常識を伝えてしまうと、ハラスメントになります。
「了解、ゆっくりしてくださいね」
そんな返事を返して、自分のやるべきその他の仕事を進めましょう。