相手への配慮や思いやりは日本の美徳です。
しかし
表現が異なるだけで、英語圏の人にも配慮や思いやりの気持ちが当然あります。
ただ、
思いやる方法がまったく違うため、
思いやりがないかのように誤解してしまう、
意図が分からないまま終わってしまう、
というケースが少なくありません。
ですが、
注意して話をしていると、
誰もが相手を思いやりながら、悩みながら会話しています。
私が感じた実際の例をみてみましょう。
「中国系の部下の場合」
中国系の部下は、なんでも「ハイハイ」と返事するのですが、絶対に謝らない場合が重なりました。
そのため、
- 「話聞いているのかしら?」
- 「馬鹿にされているのかしら?」
- 「仕事の真剣度が足りないのかしら?」
とだいぶ悩みました。
ですが、
複数の中国系部下を持つようになった結果、
- 「ああ、これは共通項かもしれない」
と思いあたる事実にたどり着いたのです。
彼らは私との会話で「できるだけ摩擦がないように」過ごそうとし、
会議の外で努力していました。
そしてその裏には、
- 私が喜ぶだろうから、
- 私が気にするだろうから
という配慮があったのです。
依頼していない、
指示していないことまでも先手で努力し、
場合によっては先手で手回しをして、
時には知らないところでビジネスを良くするため、外部部署と折衝していた。
知らない間に嬉しい形で調整していた、という後で知るケースもありました。
彼らはこちらに気遣わせることなく、
静かに先手で配慮し、役に立とうとしてくれたんですね。
それを知ってからは、見えない配慮へ気を配り評価すること。
知らないところでのサポートへ、恩で答える気構えが大切だと気を引き締めました。
中国人の部下には、その場のありがとうだけで終わらせないのも大切です。
時を経たり、場所が変わったりしても
感謝の気持ちを覚えておいて、盛大に認識・評価し合うことが大きな意味を持ちます。
(ただし、何度もお礼を言うと催促に聞こえるので、
一度、しっかりお礼をしておわりにするのがポイントです)
こちらは中国人相手に覚えておくと便利な付き合い方です。
ぜひ覚えておいて、実践してみてください。
●お礼やお詫びはその場で言うだけでなく、時間をおいて恩を返す。
お土産にもらったものを使っているよ、など、
嬉しい気持ち、感謝の気持ちは何ヶ月先でも言葉にしてOK!
年をまたいで会話に持ち出しても大丈夫です。
叱られた経験も上手に生かしましょう。
時間が経った後に「あなたは〇〇が嫌いなので、こう対処しました」と
前回の教訓を生かす行動を取ると高評価が得られます。
●部下にお金を使ってあげる
中国では感謝の気持ちをお金やもので表す習慣があります。
冠婚葬祭だけでなく、ささいな御礼でもフルーツバスケットや花束を用意したり、
季節のプレゼントを贈り合ったりしましょう。
中国では当たり前の文化ですが、
プレゼント合戦になってしまったり、良くないことの温床にもなってしまったり、
という可能性もあります。
相手と状況に合わせたお金の使い方を心がけましょう。
●部下・上司に華を持たせる
中国人は自分以外の相手へ華を持たせたい性格です。
ちょっとしたことでも、その度にコメントを入れて成果を認めてあげる。
ふとした機会に大袈裟なくらい人前で褒める、といった行動を心がけましょう。
「アメリカ人同僚・上司の場合」
なんでも前向きに褒めあっているように見えるアメリカ人。
ですがこの関係、
実は努力と計算によってできています。
上司と部下の関係、
業務評価の仕方、
退職を促すためのアプローチなど、
管理方法や関係構築などの具体的なノウハウを研修で学んだ際に実感しました。
アメリカ人相手の場合は、指摘の仕方が重要になります。
相手が気分良く自己肯定している。
その気持ちをこじらせないために、どうやっていざなうか、ここを意識しています。
アメリカ人相手に覚えておきたい、指摘の方法をみてみましょう。
●まずは3つ褒めて、その後で指摘
3つも褒められて悪い気がする人はいません。
気持ちが十分に高まった後で指摘すると、すんなり届きやすくなります。
●相手の考えや行動を否定しない
相手に間違っている部分がある場合も、あなたは○○だ、といった否定の言葉はNGです。
- 「私は〇〇の方が良いと思われました」
- 「私は〇〇だと感じました」
という形で、自分が主語になる言葉を選びましょう。
●プラスの表現を使う
指摘をする場合は、「より良くなる」「さらに素晴らしくなる」という表現を使いましょう。
相手のここが悪い、というマイナス部分に触れないようにすると、受け入れられやすくなります。
このようにつねに相手の気持ちを思いやるのが大切です。
スムーズに物事を進められるように、
にこやかに気持ちよく過ごすせるように、丁寧な配慮をしています。
「オーストリア人の同僚の場合」
オーストリア人は、人懐こくて冗談好き。
- 「家庭と飲み会が好きな人が多いなぁ」
- 「仕事より人生を大切にする人が多いなぁ」
そんな国民性なのだと思っていました。
もちろん間違ってはいないのですが、
オーストリア人と触れる機会が多くなるにつれ、
人づきあいがを大切にするからこそ、
「社交」についての考えがとても深いと知りました。
それではオーストリア人が実践している、人づきあいのテクニックをみてみましょう。
- 家族と週末どう過ごすかについて雑談する
- 相手の家族の名前も覚えていて会話に出す
- 冗談を交えながら仲間意識を醸成する
- 誕生日などのパーソナルな情報を覚えている
- 入院や怪我した人へ、メッセージやお祝いを積極的に届ける
オーストリア人を見ていると、会話を始める前の何気ない一言。
人生を謳歌しているとシェアする意味。
相手を仕事相手ではなくて個人として認識・付き合う大事さがよく伝わります。
逆にこの文化に合わせないと、日本人らしい配慮がマイナスに働いてしまいます。
日本人は、
「職場に私情を持ち込まない」
と教わっているため、踏み込み過ぎたかもしれない……と感じがちです。
しかし職場であっても人間と人間の付き合い。
オーストリアでは特に会話へパーソナルタッチを持ち込むとうまくいきます。
私情を決裁・決定に持ち込まないのは万国共通ですが、
その他の場面ではより積極的に人づきあいしてみましょう。