海外相手に仕事をしていると、いろいろな国の文化に触れます。
私は、アメリカやカナダの風習・文化に触れる機会が多いのですが、
「もっと別の国の文化も知りたい」と思い、
ポルトガル人の同僚へ、新年の過ごし方を聞いてみました。
ポルトガルでも、大晦日がパーティーやディナーの時間、新年は家族の時間、
というのはアメリカと同じです。というより、
新年を家族ではなく、友だちや恋人と過ごすことが多い日本は、
世界的でもかなり少数派です。
一方で、やはりアメリカ大陸とヨーロッパでは違いがあるもの。
ポルトガルならではの、面白い文化を教えてもらいました。
中でも印象に残ったのが「12粒のブドウ」という習慣です。
これは、ポルトガルのお隣、スペインでもみられる風習で、
年が明ける瞬間、12時を知らせる鐘が12回鳴る度に、
新年の幸せを願いブドウを一粒ずつ食べるという文化。
12回の鐘がそれぞれ、新年の12ヶ月を表していると言われ、
1月の幸せを祈って1粒、2月の幸せを願って1粒、というように、口に運ぶのだそうです。
とても可愛い習慣ですよね。
1ヶ月1ヶ月を大切に祝うところ、ブドウを使うところからも、
スペイン文化に近いポルトガルらしさを感じます。
日本でも、大晦日には各テレビ局が新年のカウントダウンをしていますが、
ポルトガルでは「12粒のブドウ」のために、鐘の音が12回流れるそうです。
その他にも、「青色の新しい下着を着る」という新年の文化があると話してくれました。
後から調べたところ、青は幸運を引き寄せる色で、
新年の幸運や繁栄を願っている風習なのだそうですが、
そこにいたポルトガル人たちは、「何でかはよく分からないわ」「そうそう」と
笑いながら言い合っていました。遠い昔にはじまった、習慣なのかもしれませんね。
日本人が、スーパーで鏡餅を見かけると、
何の迷いもなく手に取ってしまうように、
年末に青い下着が店頭に並び出すと、ポルトガル人は伝統として購入してしまうのだと思います。
「12粒のブドウ」の話を聞きながら、思い出したのが日本の節分です。
「年齢の数だけ豆を食べる」という習慣が、
1粒ずつブドウを食べる文化に似ているなと感じました。
食べることに不自由せず、幸せに過ごせるように、
そんな思いを馳せる部分が共通しているからかもしれません。
本年もまもなく終わりを迎えます。
2025年も皆さまが、ご健勝・ご多幸でありますように、心からお祈り申し上げます。