打たれ弱いアメリカ人上司と打たれ強いオランダ人部下

考察

「“The Culture Map” 異文化理解力―相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養」
先日こちらの著者である、エリン・メイヤーさんのセッションを聞く機会がありました。

  • ローコンテクスト・ハイコンテクスト、
  • 直接的ネガティブフィードバック・間接的ネガティブフィードバック

という観点で調査・分析されている方です。

その中で話題に印象に残ったのが、人種についてのお話です。
人種というありもしない区別で、人を分け隔て取り扱う。
この瞬間に人種差別は発生し、多くの人を悩ませています。

私自身には人種差別という概念が一切ありません。
その一方で、住む地域や環境によって、文化と教育の違いはあるなあと感じます。

それと同時に個性という差もあります。

例えば日本人は細やかで勤勉だと言われますが、
日本で暮らしていると
ずぼらで手抜きが大好きな人もたくさんいますよね。

家事に目を向けてみても、
簡単に楽ができる商品がヒットしています。
他の国の人と比較した場合に、
まじめで気遣える人が多い、という程度です。

だからといって勤勉過ぎること、勤勉過ぎないこと。
いずれも差別や偏見で扱ってはいけません。
違いを受け入れ理解する、これに尽きると思います。

ところで、私の上司はアメリカ人です。
私の同僚にはオランダ人がいます。

このアメリカ人上司とオランダ人部下の
考え方の違いが極端すぎて面白いので、ご紹介いたします。

アメリカには、
  「1つ指摘する前に3つ褒めましょう」
という共通認識があります。

単刀直入・スピード命のアメリカでも、否定的なフィードバックには慎重。
実際、ネガティブフィードバックをする時には直接的ではなく、間接的なフィードバックを好む傾向が、年々増えています。
現にアメリカベースの会社では、
リーダー研修やセッションコーチなどから、このような指導が入ります。

  • 「相手へ指摘する時、その人を否定してはいけません。自分はこう思ったという風に、“私=I”を主語にしたメッセージにしましょう。指摘する前に、3つ褒めることも大切です。先に褒めると、受け止められる側に心の余裕が生まれます」

このような指導が行き届いているので、
アメリカ人の上司は本当に部下を褒めます。
褒めちぎります。
その後で、

「こうすると、僕にはもっと良いように思えるな」

そうさらりと付け加えるのです。

一方、オランダ人の部下は、

  • 「私はオランダ人だから、遠慮しないで。私は単刀直入だ。I am dutch, so I will be direct」

とよく言っております。
このような国民性ですので、見事なまでにズバズバいいます。

  • 「嫌です」、「意味ありません」、「バカバカしい」。

相手を問わず、容赦ありません。

この褒めちぎりアメリカ人上司と、
そっけないオランダ人部下の組み合わせで成立する会議が、
日本人である私には可笑しくて仕方ありません。

相手に気を使って朗らかに問題を指摘するアメリカ人上司を、
さっぱりすっぱり気にせずに、
バッサリ切り捨ててゆくオランダ人部下。

第三者目線から見える、方向性のズレが面白いんです。

単刀直入に開けっ広げで話をするアメリカ人上司 
vs 
冷徹に起承転結で組み上げた論理で話をするオランダ人部下

褒め言葉の中に指摘を埋め込んでいる配慮満載のアメリカ人上司 
vs 
容赦無く直接心臓串刺しにする言葉を投げつけるオランダ人部下

聞いていてハラハラする場面もありますが、
感情の表し方が違うだけであって、そこに悪意はありません。

怒る前に信じたり、
許したりすることが国際文化交流では大切なのだと感じました。

  • 怒っているように聞こえた。
  • 失礼なことを言われた気がする。
  • 非難されたように思えた。

このような場合も、

  • 「Don’t take it personal, and just take it and move on個人的な攻撃と捉えずに粛々と受け止めて進む」

この精神で向き合っていきたいですね。

  • 「If I sound offensive, that is never my intention.もしも失礼なこと言ったとしてもそれは決してそのような意図はないのよ」

時にはこんな風に弁解しながら、炎の降る戦況を日々駆け抜けています。

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