どこの世界でも、人間として目指す理想像は同じである気がします。
- 人の悪口は言ってはいけません。
- 他人には優しくしましょう。
- 偉い人ほど自分に厳しい。
このような言葉や生き方は、各国共通で手本とされています。
ですが実際してみると、なぜか違った表現になります。
それが一番明るみにでるのが、意見を言う場面です。
- 「あの人のことをどう思う?」
- 「このプロジェクトどう思う?」
- 「このプロセスに問題はある?」
- 「あなたはどうしたい?」
と聞かれた時、どう答えるべきか頭を悩ませます。
当然悪口は言いたくありません。
他部署が頑張っているのを知っている場合、
問題を指摘するような言葉も出したくありません。
しかしここで忖度してしまうと、勘違いの原因になります。
周囲や当事者へ配慮して、本当な気になる部分があるのに
- 「問題ない」
- 「素晴らしいよ」
- 「文句はない」
と述べてしまうと、大きな問題になる恐れもあるため注意が必要です。
職務を果たすために必要な要求は、決して妥協してはいけない。
これを覚えておきましょう。
- わがままを言ってはいけない。
- 周囲に配慮しないやつだと思われたくない。
と言う気持ちは一旦脇において、
しっかりした言葉で意見を伝えるのが正解です。
またこの時、
以下のような日本人らしい配慮は一切含んではいけません。
●「ご判断に任せますが、違和感があります」
(賛成でないと示唆したい)
●「無難な選択肢だとは思います」
(正しい選択とは思わない、賛成していないと明確にしておきたい)
●「問題ないですが、◯◯◯◯した方が良いかもしれません」
(断言を避けることで相手の機嫌を損ねないようにしたい)
●「可能であれば〇〇としたいですが、ご意向に従います。」
(自分の希望は述べるけど、周囲の流れに任せますという配慮も示したい)
このような場面が訪れた際、日本人同士であれば、
「ああ、配慮して言えなかったんだな」
と相手の気持ちを理解できます。
ところが忖度という概念がない外国相手の場合。
「問題ない」「素晴らしいよ」「文句はない」などの言葉がそのまま受け止められ、
前言撤回ができません。
「本音を言うと実は……」
という意見は通らないと心得て、質問には「本音」で回答しましょう。
実際ビジネスの場面で、
「前回調査した時は問題ないと言っておきながら、
どうして急に大問題だと日本で騒ぐことになったんだ?
なぜもっと早い段階で、協力的な解決を図ろうとしなかったのか?」
と憤っている人を見かけることがあります。
最悪の場合、相手を疑心暗鬼にさせ、関係性を壊す例もあります。
では、どうすれば良いのでしょうか?
この場合は「本音」の伝え方を前向きにして、
大きな高い目線で言い換えれば良いのです。
●「努力に感謝している。もしも○○という改善をしたらもっと素晴らしいと思う」
●「プロジェクトは○○という成果をもたらしている。さらに△△という観点を加えたらより良いのではないかと思う」
●「このプロセスは○○に課題がある。ここを乗り越えたら期待を超える成果があると思う」
●「皆様のご意向もあると思いますので、討議へ前向きに参加しますが、私としては〇〇が必要だと思います」
これらの文章はすべて、
問題や課題の指摘、要求をはっきりと示しています。
さらに肯定の言葉が含まれているため、
受け入れやすく、相手を否定せずに指摘できます。
完璧主義、原点主義な日本流で仕事を見ると、問題点・課題点はマイナスです。
しかし
前向きで成果主義な目線で見れば、改善したい、より良くしたい
という姿勢を持った意見は歓迎されます。
大切なのは、褒めて伸ばす。
相手を認めて課題を共有する。
相手と敵対するのではなく、仲間として発言する。
大きな目標に共同でのぞむことです。
意見交換の過程で、相手の問題をあげつらう必要はありません。
周囲の意見を大切に、本当のことをちゃんと指摘できる人間を目指しましょう。