待っているだけでは昇格・昇級は与えられない

考察

部下を持っている身として、複雑な思いをもって考えることがあります。

  • 「外資系は、自分で役職が欲しいと言わなければいけない」
  • 「外資系は、実力で役職を勝ち取らなくてはいけない」

外資系企業にこのようなイメージを持っていませんか?
外資系ではたらく身からすると、これらのイメージは半分本当、半分誤解、というのが本音です。

上司や幹部に昇格や昇給を要求したけれど、認められず、

  • 「不平等だ」
  • 「自分は評価されていない」

そう憤慨する人もいます。

ですが、認められない理由を、
上司と部下の人間関係のせいにしてしまうのはNGです。

要求したのに昇格、昇級できていない場合、
多くのケースで本人の努力が見当違い、
もしくは上司や幹部への接し方が間違っています。

外資系で昇格、昇級を目指すなら、絶対に知っておきたい3つのポイントをチェックしてみましょう。

ポイント1:与えられた仕事以上の成果を出す

日本の場合、年齢などを考慮の上、昇格・昇級できる機会が待っています。
ですが外資系では、与えられた以上の仕事ができているかどうか、という点が重視されます。

  • 「目の前の仕事を頑張っている」
  • 「日ごろの努力を評価して欲しい」

という想いで、上司や幹部へ訴える例がみられますが、
与えられた仕事は頑張って当然、努力して当たり前です。

ボーナスの査定程度には響くかもしれませんが、
ただ目の前の仕事をしているだけでは昇格・昇級にはつながりません。

希望する職務を安心して任せられる、
価値ある社員になった上で、昇格・昇級の意志を示しましょう。

ポイント2:要求ではなく意志を示す

先ほど、上司や幹部に昇格・昇級を要求したけれど、
認められなかった例を出しました。

仮に当該対象者がもし、昇格・昇級に値するだけの価値があったとしても、
上司や幹部に単に「要求してしまった」という事実で、道が途絶えてしまう恐れがあります。

昇格・昇級は、上司によって引き上げてもらうポジションです。

自らの価値を認めてもらうためにも、
仲間として推してもらうためにも、
要求する前に、自分にその意思があると伝えて
相手に認めてもらうように進めるべきです。
要求すればもらえるものではないのです。

これまでの実績をもとに、
上司や幹部を説得しよう、言い負かそう、そんな風に考えてはいけません。

意志を伝える前に、上司や幹部へ、昇格・昇級に必要なスキル根拠を尋ねておいてください。
そして、相手も周りも納得できるような材料を揃えて、
証明してみて初めて可能になるのです。
それは、上司の全面的な支援があったとしても、やはり材料が揃っていないとダメなのです。

仮にマネージャーを目指す場合、

  • マネージャー職には、どのような実績が必要なのかアドバイスをもらう。
  • 目標達成までのステップを相談する
  • 自ら考えた昇格・昇級までにプランをシェアする

など、事前にやるべきことを上司とシェアし、理解を共有する。
それからであれば、あとは動き出すだけです。

スムーズな昇格・昇級を目指すために、
何ができたらよいのか、どのような業務を達成できたら対象になるのか、といった条件をたしかめて、適切なタイミングで意思表明しましょう。

ポイント3:職務に就く前に職務給の仕事を

昇格・昇級の意志を示すなら、該当の職務に就く前に、
その仕事ができる人材であるとPRしましょう。

マネージャーになりたいのであれば、今すぐマネージャーとして仕事をスタートさせる。
プログラムリーダーになりたいのであれば、アサインされる前にその業務を成し遂げる。

など、積極的に該当の業務に関与してください。

マネージャーであるかのように、チームをまとめ、チームを指導・サポートする。
プログラムリーダーであるかのように、プロジェクト管理にも積極的に参加する。

このように、役職の仕事へ取り組むことで、
何が足りないのか、どんな実績を積むべきか、自分に不足している知識やスキルを理解できます。
出る杭になり打たれる場合もありますが、それも今後に役立つ経験になるでしょう。

試行錯誤している期間は、まだ昇格・昇級前。

失敗しても責任を問われないため、
自分の立場を脅かすことなく学べる点もメリットです。

このような努力を重ね、Raise the bar (自分がチャレンジするステージをあげる)ことで、
周囲の反応が変わります。

  • 「あの人なら任せられる」
  • 「任せないのはおかしい」

という状況になったタイミングで、はじめて昇格・昇級のチャンスが与えられます。

昇格・昇級の意志は先に示す必要がありますが、
同時に、「資格があることを証明する」必要があるのです。

この状態でも、昇格・昇給の声がかからない、認められない、という場合は、理由を判断します。
先方の要求が想像していたよりもはるかに高いのか、
予算的や時期的に無理なのか、理由によって対応が変わります。

自らにスキルが足りない場合は、粘っても意味がありませんが、
時期や予算が理由の場合は掛け合うことで、昇格・昇進に結びつくケースがあります。

すでに経験や実績がある場合、築き上げてきた経験や実績を生かせる、
外部の会社を探してみるのもありかもしれません。

これまでの努力が買われ、理想の役職で新しいスタートを切れるはずです。