将来の見通しにコミットする方法

例文・トピックス

日本にいると、10年先まで見通して契約する、というお客様が少なくありません。
ですがIT業界の場合、10年先を見通すのは無理と言わざるを得ません。

ここ10年間のSNSの普及、携帯電話の変貌を考えればその差は歴然。
今勢いのある会社であっても、
10年後にはあるかどうか分からない、それがITの世界です。
ですが、何十年とビジネスをやってきた日本企業様の中には、
10年保証が必須というお客様もいます。

この時、アメリカのIT企業側は、
「そんな保証できない未来をどう保証しろというのか」
「何も分からない将来について保証させられるような、
危険度の高い仕事を受けるわけにはいかない」
という回答になります。

逆に日本企業側は、
「将来のビジネスビジョンに覚悟を持てない会社とは、危なすぎてビジネス提携できない」
という結論になってしまいます。

何をどう保証するのか、
という条件もかんたんには結論付けられません。

このような日本企業の「将来見通しコミットの要求という難題」ですが、
私がこれまでお手伝いした中で、問題解決する方法が2つだけありました。
その方法をご紹介します。

(1)将来のビジネス関係を担保する「仕組み」に合意する

10年後を約束するのは難しいですが、
10年間一緒に仕事をしていくために、
責任持ったコミットメントを示せる関係性やプロセスの作成は可能です。

  • 年間予定や目標の共有を義務付ける
  • 定期的な結果報告を義務付け、一定条件を下回る・上回る場合には修正・検証プロセスに合意する
  • 製品開発担当者や幹部レベルでの定期報告会を実施しコミットさせる

といった形で、相互に信頼を築くための仕組みを考えてみましょう。

(2)契約更新の仕組みを組み込む

一般的に契約は、一度結んだ後は見直しません。
契約とは基本そういうものです。

ですが10年先まで考える場合は、条項の中に“見直し”の仕組みを組み込みましょう。
ある一定条件を満たした場合は契約を見直す。
見直しの結果、合意に満たなかった場合、1年のみの延長とし1年後には解約するものとする。
契約書へ事前にこう入れておくと安心です。

以下、契約書の例です。

  • 「売り上げが目標値を30%下回った場合、双方いずれも契約事項の再検証申し入れを可能とする。申し入れがあった場合、誠意をもって目標値と契約条項を討議、合意に至らなかった場合、1年のみ当該契約のままで延長とする」

他にも解決策があるかもしれませんが、現状この2案が有効だと感じています。
他に良いアイデアがありましたら、ぜひ教えてください。

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