日本語で会話をしていると、「立場」という言葉を多く耳にします。
その人の地位や役割などを表わす「社長という立場」「店員という立場」などの使い方。
その人の立ち位置を示す「公平な立場」「司会という立場」などの使い方。
違いを表現する際の「大人と子どもでは立場が違う」といった使い方。
「発言できる立場にない」といった遠慮を示す使い方など、さまざまな用法があります。
この「立場」という言葉を、単純に英語で表わすなら、
Position、 Standpoint、 Role、 Perspectiveといった言葉が挙げられます。
ですが、これらの言葉を日本でいうところの
「立場」に置き換えても、なかなか同じようなニュアンスでは伝わりません。
「私の立場では~」という話をする際、
My position、My perspectiveという風に表現してしまうと、
“私はあなたの立場とは違う”という、対立の構図が強くなってしまいます。
- 「自分の立場をわかって欲しい」
- 「私の立場が悪くなってしまった」
という気持ちを穏やかに伝えたい、という想いがあっても、
違った意味で捉えられてしまうため注意が必要です。
単純に英語で表わすだけでも難しい「立場」という言葉ですが、
日本には「微妙な立場」という、さらに表現しづらい表現があります。
私自身もまだ、「微妙な立場」を伝えるには
これだ! というフレーズには出会っていないのですが、
先日会議中に、近い発言がありましたので、ここにシェアします。
「微妙な立場」に近い表現として使われていたのは、この2つの言葉です。
- ”Stick out like a sore thumb”
- ”hot seat”
この2つの言葉を使い、間が悪い、立場が微妙、というニュアンスを伝えようとした例文がこちらです。
- 例文1
He was sitting at the head of the table, sticking out like a sore thumb in that uncomfortable spot.
- 例文2
He found himself in a hot spot at the meeting, awkwardly squeezed between the CEO and the whiteboard
“Sore thumb” と “hot spot” はともに、不快感や立場の難しさを伝える際に使われる言葉です。
よく似た表現ですが、「Sore thumb」は、
不快な状況で、特別に目立つ状態を表わしています。
例文1では、個人の目立ち具合と、
周囲との調和の欠如に焦点が当てられ、場違いに目立ち不快である、
という気持ちが強調されています。
「hot spot」は、緊張感や難しさ、不快な状況や場所を指しています。
例文2では、位置や状況によってその人が難しい立場、
または潜在的に問題がある状況にある事実が強調されています。
これらの例文で、日本人の「微妙な立場」を完全に伝えられる訳ではありませんが、
こういう表し方もある、という例として紹介いたしました。