日本人って、何かと手土産が好きですよね。
ちょっと出張で支社へ行くとき、お菓子を持って行って渡すのはもはや常識。
○○支社の○○さんは、いつも人気店のプリンを持ってきてくれるから嬉しい、
そんな会話が裏でされているのもあるあるです。
これが中国系、アジア系になると少し違って、
好みのものを持ってきてくれたらいいな、と期待するのではなく、
事前に「あれ買ってきて」「これ持ってきて」と頼まれるケースが増えます。
はじめてこの文化に触れたとき、
「なんて遠慮のない人たちなんだ」
と思ったのですが、「お願い」の裏にある意味を後から知って、納得しました。
中国系やアジア圏では、
「頼みごとができるのは、信頼関係が築かれている証」
という考え方があります。
つまり、出張や旅行に行く相手へ、
「○○を買ってきて」
と頼める関係性の裏側には、ただ便利だから、おつかいをしてきて欲しいから、
という気持ちではなく、
「あなたを信用しているから、お願いするね!」
という意味が含まれているんです。
頼まれる側も、
「どうせ行くんだし、ついでに買っておってあげた方が、人間関係がスムーズになる」
という感覚でいるため、それほど負担には感じていません。
むしろ自然な流れ、として受け止めているケースがほとんどです。
ちょっとしたお願いごとに応えてあげるのが、人間関係構築の一環、という感じですね。
日本では、「お土産=心を込めた贈り物」 という意識が強いため、
戸惑ってしまいがちですが、中国系の文化では、
「お土産=頼まれたものを届けること」という感覚。
ここを知らないと、「お土産文化のズレ」につながってしまいます。
中華圏ではこの他にも、日本とは異なる形で、信頼を示す例がみられます。
日本では、「礼儀」や「配慮」「暗黙の了解」「察する」といった部分から、
信頼関係を築かれるケースが多いのですが、
中華圏では、「助け合うこと」「遠慮なく頼むこと」が、信頼の証 になっているようです。
日本では、親しい関係であっても「相手に迷惑をかけないこと」が美徳とされているため、
驚いてしまいますよね。
日本の常識で、「相手にはきちんと気を遣って、頼みごとはできるだけしない方がいい」と考え、
行動してしまった場合、「親しいからこそ頼む、頼める関係こそが大事」なのに、
あの人は自分たちを信頼していない、と思われてしまう恐れがあります。
中華圏の方とこれからビジネスをする、
信頼関係を築きたいと思っている、という方は「遠慮なく頼める=信頼関係がある」という考えを、
ぜひ覚えておいてください。
時折、図々しいなぁと思うほどの要求が来る場合もありますが、
中華圏の人から遠慮なく、頼みごとをされるのは
「お願いできるくらい、あなたのことを親しい間柄だと思っている」という証拠。
快く応じてあげると、仲が深まっていくはずです。
以前、上司の心得として、こんな行動をするべき、とも言われました。
心得①:部下との食事場所は部下に選ばせる、メニューも部下に選ばせる
部下が食事場所、メニューを選んだ会食中や会食後、
「大変良い場所、メニューを選んでくれた、ありがとう」と、
みんなの前で褒めちぎった後、「上司が支払いをする」のが礼儀です。
この行動を選ぶと、該当の部下は上司からの信頼が厚い人物だ、
と示す結果になり、人間関係が良好になります。
心得②:お土産や記念品は「信頼している部下」に選ばせる、配らせる
部下に商品の選定、配る仕事をまかせることで、
何を選ぶのか、どのように手配するのか、どうやって配るのか、という決定権が部下にうつります。
「権力を渡す」という行動が、まかせる=信頼している、という気持ちの証明になり、
関係を深められます。
中華圏の人は、ささいな場面でも相手に任せる、
という行為で信頼関係を築いている例です。
自分でやってしまえば簡単なことも、あえて部下にやらせると、
中華圏ではとくにうまくいきそうです。
奥深い中華文化の一端をほんのちょっとだけ同僚におしえてもらい
似ているようで全然違うのだなぁと思いました。