アジアで仕事をしていても、アメリカで仕事をしていても、
かならずついて回るのが上司と部下の関係です。
会社というのは基本的に、リーダーや管理職などの上司と、
そのチームではたらく部下によって、人間関係が構成されています。
私はアジアの会社、アメリカの会社、どちらも知っているのですが、
社内を観察していると、同じ上下関係でも
「上司に遠慮をするかしないか」といった部分に大きな違いがみられます。
ここを知らずに、日本流の考えで外資系企業に勤めてしまった場合、
自分の株を下げてしまう恐れがあります。
国によって異なる上司と部下の関係性を、ぜひ覚えておいてください。
部下が取るべき行動はアジアもアメリカも同じ
仕事をする際、「上司が何を考えているのか」を想像して、
意図を汲み取りながら役に立つように動く、というのは世界共通です。
日本人は「指示待ち人間」になりがちですが、
言われたことだけをやるのではなく、意図を考えて、さらに発展させて働くべき、
というのは理解しています。
アメリカでは、発展して動くのが当たり前で、
失敗を恐れずにチャレンジする傾向にある、
という話は、このブログでも過去に触れてきました。
このように、上司のために取るべき行動は、
アジアでもアメリカでも基本的に同じです。
ですが、実際の動きをみていると、両者では違った様子が見受けられます。
ゴールは同じなのに、なぜ動きが変わるのか。
考えてみたところ、
アジアとアメリカでは「上司に期待していること」や
「自分の行動によって得たい未来」が異なる、という点に気付きました。
アジア圏での上司と部下の関係性
アジア圏で、上司のために頭をはたらかせ、
先回りして動いた部下が、「この業務は自分がやった!」「言われる前に考えて行動した!」と
アピールするケースは、あまりみられません。
自分から言うのは印象が悪く、
部下の動きをチェックした上司側が気付き、ねぎらいの言葉をかけたり、
はたらきに応じた評価をしたり、といった行動を取るのが一般的です。
その裏側には、上司は日々多くの仕事を抱えていて、
一人ひとりの仕事を聞いている暇はない。
個別に褒めたり、感想を言わせたりするのは迷惑になる、
という遠慮や配慮の気持ちが含まれています。
日本国内でもよくみられる。この遠慮の姿勢ですが、
アメリカ圏で同じ行動を取ってしまった場合、優しい気遣いではなく
「甘え」だと捉えられてしまいます。
アメリカ圏での上司と部下の関係性
アジア圏では、忙しい上司に気遣いがちな部下が多いのですが、
もちろんアメリカ圏でも上司が忙しいという現実に、変わりはありません。
しかしアメリカの部下は、多忙な上司に向かって
「自分が何をして、どんな成果につながったのか」
「どのような課題をどう工夫して解決したのか」といった結果を自らレポートします。
上司の邪魔にならないように「端的な言葉で伝える」という配慮はしますが
「黙って評価を待つ」という行動は選びません。
なぜなら、上司が忙しいからこそ、
自分の仕事内容や結果をいちいち確認させる状況を作ってはいけない、と考えるからです。
自分から成果や課題解決の方法を伝えると、
チェックの手間が省けます。
さらに「うちの部下はこんな課題を解決できた」
「うちのチームはこんな成果を上げている」と手放しで自慢できる未来につながります。
部下自らが発信して「こんな素晴らしい結果になったのは上司のおかげ」と
言って回る場合もあります。これができると
「自分があれこれしなくても、部下が自ら動いて、自分の株も上がっていく」という
上司にとって非常に嬉しい状況が生まれます。
「上司のおかげだ」と触れ回った部下の株ももちろん上がるため、
将来の良い評価につながっていくのです。
アメリカ圏では「上司に何かをしてもらいたい」と考えた段階で、
一歩遅れてしまうんですね。
「アメリカ圏の上司が評価してくれない」
「上司がアジア人を見てくれない」そんな文句を言っている人もいますが、
上手に立ち回るなら「上司が評価せざるを得ない状況を自分から作る・発信する」が正解です。
「言われたことだけをやっている」「気付いて貰えるのを待っている」という働き方では、
ただの作業者で終わってしまいます。
自分の存在意義や貢献は、自らの行動で結果につなげ、
成果を積極的に伝えてみてください。合わせて、
上司への感謝を周りへ広められれば、より良い未来につながるはずです。