日本では、ワークライフバランスを大切にする考え方に人気が集まっていますが、
次の時代に流行りそうな考え方として
「ポートフォリオライフ」というアイデアがあるそうです。
耳慣れない言葉ですが、概念自体は意外に古くからあります。
もともとは1990年代、イギリスのビジネス著作家であるチャールズ・ハンディ氏によって、
「ポートフォリオキャリア」という考え方が提唱されました。
ポートフォリオキャリアでは、
1つの職業に依存するのではなく、多様な経験でキャリアを構築するべき、と示しています。
それから時を経て、
クリスティアーナ・ウォレス(Christina Wallace)さんが2023年4月に、
この概念に触れる「The Portfolio Life」を発刊したことで、再び注目が集まっているようです。
この本では、一つのキャリア、一つのゴール、一つの会社で人生を全うする時代はもう終わり、
多様なスキルや興味を活かして、複数の仕事を同時に持ち、
柔軟で充実したキャリアを築くことが、資産形成にも心身の健康にもつながる、
と書かれています。
いまだに終身雇用制度が残る日本人には、少し頭が痛い話ですが、
若い世代を中心に異業種へ転職したり、副業が解禁されたり、パラレルキャリアが推進されたり、
日本人の働き方も変わりはじめています。
令和のこのタイミングであれば、「ポートフォリオライフ」という考え方も、
すんなり浸透するかもしれません。
「ポートフォリオライフ」は、3つの自由を大切にします。
- 時間の自由
- 働く場所の自由
- 労働形態の自由
私たちの毎日を自由に、さまざまな活動に振り分けることで、
よりバランスの取れた生活を追求できる、という考え方です。
海外では、Uber タクシーの運転手が、どこかの企業のエンジニアマネージャーだったりして、
驚かされるケースがあります。
勤め先の会社が倒産危機、という訳ではなく、お金に困っている訳でもなく、
空いた時間を有効活用して、
まったく違う仕事、新しい出会いを楽しんでいるそうです。
私が「ポートフォリオライフ」という考えを知ったのも、
3社で社外取締役を引き受け、自身も会社を経営し、
ハーバード大学の教育課程を通信で学んでいる方と話したのがきっかけでした。
「なぜそんなに忙しくしているの?」
と聞いた私へ、
「私がさまざまな取り組みをしているのは、ポートフォリオライフのバランスを取る上で必要だからよ」
そう返答され、「ポートフォリオライフ」という言葉を知りました。
考えてみれば日本にも、会社員の方でも平日会社で仕事をしながら土日はヨガの先生をしたり、
平日はビジネスマンとして働きながら、土日は野球の監督をしていたり、
という人がたくさんいます。
軸足は1本だけでなくていい。
心が赴くままに自由を楽しみ、人生のバランスを整える、そんな時代なのだと感じています。