アメリカと日本「立場」のニュアンスの違い

ちょっとしたコツ

日本ではよく、「人にはそれぞれ立場がある」という言葉が使われます。
「立場がある」
と言われたら、一人ひとりそれぞれに事情があり、表や裏がある。
体裁や本音などに配慮するべき……ここまで考える人も多いと思います。
この連想は、
実は、非常に日本的であり、海外では通用しません。

特に難しいのが、「Position」という英語表現です。
たとえば、
「Take a position」
という言葉があります。

このフレーズは、その人の立場をとる、という表現ではなく、
「毅然とした態度を取る」「強硬手段に出る」といった、
相手への対立を表わす言葉になってしまいます。

そして、これは誰でもついやってしまう間違いでもあり
リーダー教育の一環としても、
「Positionを取るような発言はしてはいけない」
といった指導が行われます。

良いディスカッションをするために、
部下やチームをまとめるために、知っておきたい考え方です。

会社へ就職するときに「take a position at the company」といった形で使用する分には構いません。

ですが、「私は○○である」という立場を表わす表現として使用した場合、
「私が○○であり、あなたは違う」といった強調表現だと捉えられてしまいます。

My position is against the idea.
私としては反対ですーという自分はそう思うけど、他の方は色々あるかもしれないという
相手への配慮を示すというより
あなたは賛成かもしれないけど...私は反対だ。」と、
対立をはっきりさせているのです。

仮に、
「その案は、検討が足りないという見解/立場をとる」
と言ってしまうと、検討が足りていると考えている人に対して
「やるか、おら?!」
という、喧嘩腰に聞こえてしまうそうです。

実際の指導では、この「立場をとる」を使わずに
主観で話せ、と言われます。
「その案は検討が足りないように、私には見える
もしくは
「その案は検討が足りないような、私はそのような印象を感じた
など、
あくまでも批判ではなく自分の主観であると、
明白に述べるように教えていました。

「立場」を取ってしまうと、
正式な対立・見解になってしまうため、
個人的な意見・印象として表現するのが正解、という考え方です。

日本では、
「私の立場としてはこう思います」
と、立ち位置を明確にした方が「個人的には違うんです」と暗に示せる場合もあります。

一方でアメリカでは、
「個人的にはこうなんです」と表わした方が、
対立する立場ではないと伝えられます。

言葉の違いが面白い例ですが、実際に使ってしまっては大変です。

海外相手に意見を述べるときは立場を封印して、
自分の思いであると強調しながら、
相手へ意見を伝えましょう。