お詫びのコツ

お詫び

「ご多忙な中恐れ入ります。」
「英語が下手でごめんなさい。」
「何度も質問して申し訳ありません。」

どれも日本ではよく、見聞きする言葉ですよね。ですが、海外とやりとりをするなら話す、書く前に、ちょっと立ち止まってみましょう。

これらの言葉は、すべて謝罪が含まれています。しかし、今おかれている状況は、自分に非があり、お詫びをしなければならない状態でしょうか?

もし、自分に非がない場合。
「すみませんが」「恐れ入りますが」「申し訳ないのですが」
といったニュアンスを表す ”I am sorry”, “Please excuse me” などの言葉を選んでしまうと、逆に現場が混乱するケースがあります。

グローバルコミュニケーションでお詫びの言葉を使う場合は、まず自分に非があるかどうかを考え、その上で適切なフレーズを使いましょう。

ここでは、「丁寧・礼儀のためのフレーズ」「非がある場合のフレーズ」「非はないけれど迷惑がかかっている場合のフレーズ」をそれぞれご紹介いたします。

丁寧・礼儀のためなら → お礼に変換

英語圏でお詫びの言葉を使った場合、自動的と言っていいほどに

No problem(問題ないよ)
No issue(大丈夫だよ)
No Questions are dumb questions(馬鹿な質問なんて存在しないよ)
Your English is better than my Japanese(私の日本語よりあなたの英語の方がよっぽど良いわ)

など、相手を励ます言葉が出てきます。

「おはよう」に対して「おはよう」と返すように、ほとんどの人が無意識に口にしているのですが、この自動的な受け答えが何行、何分も続くと、付き合わされる方はかないません。

“I am sorry”という会話の主語は、常に詫びる側にあるため、気分も良くありません。「いつまでウジウジ自分のことを話しているのだろう」と、ゲンナリされてしまうでしょう。

とはいえ、日本人の性格上、どうしても言葉を添えたい、という気持ちも分かります。一言言わないと、自分が落ち着かない。それなら、お詫びをお礼に変換してみてください。

Thank you for taking the call the other day, although it was late at night.
(先日は夜分にもかかわらずお電話ありがとうございます)
Thank you for your patience in taking my questions
(質問にお付き合いいただきありがとうございます)
Awesome presentations! It inspires me so many things. May I ask some questions now?
(素晴らしい発表でした。色々と考えさせられる部分がありましたので、質問させて頂いてもよろしいですか?)

など、かならず相手本位の文章に、できればお礼へ置き換えてみましょう。
このような言葉を使えるようになれば、相手の気持ちを害することなく、快いやりとりができます。

自分に非がある場合 → 前向きな結論に

自分に非がある場合は、 短くきちんとお詫びした上で、前向きな結論につなげるのが正解です。英語圏でも、謝罪は高度なテクニック。相手が怒っていれば尚更です。

「アメリカ⼈は謝らない」

と思っている人が多いのですが、実際に会話していると、自分に非がある場合はきちんと謝る人がほとんど。ただ謝って終わりではなく、次からどうするのか、前向きな言葉で口にし、改善につなげているのも特徴です。

反省や自戒の連続では、自己満足になってしまいます。許してもらうことばかりにこだわる、自己中心的な人。そう捉えられる可能性もあります。

日本的に見ると、
「ちゃんと反省したのか?」
そうツッコミたくなりますが、反省するだけの日本流は、逆に馴染みません。
必ず、次からは大丈夫だという、前向きな言葉で終わるようにしましょう。

失敗した時こそ、相手の信頼を得られるチャンス。
これは、日本も海外も同じです。 だからこそ、相手に合った態度で、上手に次へつなげていきたいですね。

迷惑がかかっている → 共感しながら解決を

自分に⾮はないけど迷惑はかかっている。この場合は、Empathy(共感)とSympathy(同情)を見せましょう。

自分に非はないけれど、相手に迷惑はかかっている時。日本なら、とりあえず謝りますよね。

お門違いなクレームに対しても、
「申し訳ないのですが、そちらはご利用方法を、このようにしていただく必要がございます」
というように、お詫びの枕詞から入るのが、一般的です。

日本人の場合、お詫びから入ることで、
「ここまで謝ってくれているのだから……」
と怒りが鎮まる例が多いでしょう。

しかし、海外では、非を認めることになるから、自分に非がない場合は謝るな、という論理もあります。
それでは、グローバルコミュニケーションでは、どのような言葉を使うのが良いのでしょうか?

英語圏で行われている、最近のカスタマーサポートセンター指導を見てみると、“共感を示して⼀緒に解決をする”このように教えるケースが増えています。
まずは相手へ、連絡を頂いたこと、購入してもらったことなどのお礼を。

次に、相⼿の不愉快な思いを理解していることを伝えた上で、共感を示しながら、⼀緒に解決方法を見つけます。

これらの言葉を選ぶことで、
Thank you, Sorry this has happened to you
というように、相手に主語や注目がある会話になる点も、大きなメリットです。

日本人はつい、先にお詫びの言葉を述べてしまいがちです。
ですが、グローバルコミュニケーションでは、どのような場面も相手中心に。 お礼や寄り添う共感の気持ちを伝えながら、前向きな言葉で終わるようにしましょう。